アスペルガーとオキシトシン

かなり気になることだったのでちょっと調査と情報の整理をして自分で把握しやすくするために残す。


「アスペルガー オキシトシン」で検索すると最初にこのページが出てくる。
ここには「オキシトシンはホルモンの1種であり、既に陣痛促進剤として使われていて珍しいものではない」「報道によりオキシトシンが発達障害の治療に使用できると勝手に解釈されているとして指摘」「元となっている論文はNatureに載っていて、あくまで要因のひとつかもしれないという指摘に過ぎないということ」というようなことが記載されている。

というわけでその論文を探してみるとこれがその論文に該当するようだ。
英語でよーわからんので同様な論文が無いか探してみるとこれが出てきた。
どっちにしても雑誌の記事なので金が必要そうだが、概要が載っているのでそれで我慢する。

まず前者はマウス実験によりオキシトシンの血中濃度の減少により母性的・社会的行動が著しく抑制されたとしている。が、あくまでこの実験はCD38欠損マウスは結果的にオキシトシンの分泌が抑制されそのようになると書いているのであり、つまりのところCD38の欠損が発達障害の1要因かも知れないという結びになっている。

後者は流石に人間の脳みそ弄る訳にはいかないので、前者の結果を踏まえてだと思われるがオキシトシンに注目して実験を行い、その結果を報告している。
本文が読めないので概要しか分からないが、まず女性の出産において陣痛促進・授乳機能などについては確実に影響があるとしている。(これについては最初のサイトと同じ)次に『信頼ゲーム』という実験において血中オキシトシン濃度を測定し、また直接的にオキシトシンを鼻から吸引してその影響を調べ比較するということを行っている。その結果、オキシトシンの血中濃度を高めると人の間の信頼関係を強めると結論付けている。またその結論を受けて、自閉症の人はオキシトシンの受容体に機能不全があるのではと推論している。

この二つだけでも疑問点がかなりある。
  • (前者)そもそもマウスの「母性的・社会的行動」ってなんぞ?
  • (後者)「人と人の間の信頼」という測定できないものを『信頼ゲーム』で図ったつもりになっているが、そもそもそれが間違いである可能性は?
  • (後者)オキシトシンの血中濃度UP=信頼関係UPとしているが、全然関係が見られない人もいた(概要には異常に高い濃度にもかかわらず全く返金しなかった人もいるとしている)と書いているにも関わらず、なんで決め付けてるわけ?
特に後者の『信頼ゲーム』はちょっと問題があると思われる。
「ゲームの成績がよい=信頼関係がよい」としてるのだが、この「ゲームの成績」というものが分からない。どうやら顔を見せ合わない状態で、互いに見知らぬ二人が、現金をやり取りしてその利益を成績にしているのだろうが、利益が多いパターンはAが全額Bに渡すその一言に限るのだがその辺の評価がよく分からない。そもそもこのゲーム自体が『囚人のジレンマ』をモロに体現している気がするのは気のせいだろうか?
それに比較をしているのだから同じ人間がオキシトシン濃度の異なる状態で同じゲームをやったことになるわけだが、その結果に前回のゲームの結果がかなり影響を及ぼしていると思うのだが?

更に調べてみるとマウスの事例しか出てこないが、オキシトシンの発現の抑制されたマウスは母乳が出ない・出づらいらしい。

また一月前に調べたときは見つけたのだが現時点で見つけられないことがあって、それは情報の伝播についてである。前に調べたときは論文の発表が2007年、日本での報道が2008年に伝播し、今変な形で広がっているように記憶していたのだがよく辿れない。

なんにせよ、母親とオキシトシンは切り離せないものであることは確かな事である様である。だが、自閉症系の事に関してオキシトシンがどれだけ影響を与えているかについては全く未知数であると思われる。

0 コメント:

コメントを投稿